Dove & Olive ― 描く

Dove & Olive ― 描く

2026.3.20(Fri) _ 4.5(Sun)
Open : 10AM _ 6PM
Closed : Wed
Online : 2026.4.1(Wed) 9PM _ 5(Sun) 4PM
Hajime Ono : 3.20(Fri), and sometimes

今回の展示会は、921GALLERYの「アートでいきませんか」という提案から始まりました。

私自身、大学生の頃まで油絵を描いていました。学生時代、galleryとはアートを展示するための空間だと認識していました。その場所で再び展示会を行えることを今とてもありがたく感じています。

油絵とバッグづくりの間には一見すると遠い距離があります。しかし振り返ると、細いけど切れることのない一本の糸で繋がっていました。

まず「オイル」。油絵でも馴染み深い存在であり、バッグに使われる革にも欠かせないものです。オイルの入った瓶は海外のものも多く、その形状に惹かれて集めていました。思い出せば高校生の頃、油絵の具を入れていたのは革のバッグでした。絵の具が付着し、染み込んだ革のバッグがとても好きだった。

豚毛やテンの毛からできる油絵の筆は今でもボンドを塗る際に使っています。用途は変わっても手に残る感覚は同じです。

今回の展示に向けて100号近い大きさの絵も描きました。しかしそのサイズに合う紙がありません。画材屋にもない。ふと、いつも革を包むために使っている「紙」の存在に気づきました。また一つ、糸がつながった瞬間でした。

絵画とバッグづくり。そのグラデーションのちょうど真ん中にあるのが、自分の「モノづくり」なのだと思います。絵画の説明しづらく、言葉にならない部分、それは鑑賞者との共同作業ではじめて受け取られる。バッグも同じです。使う人との共同作業によって完成していく。同じバッグでも、使う人が変われば、まったく違って見える。

今回のバッグにも用いている革はトスカーナのものを使っています。トスカーナの都、フィレンツェは革の街であり、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチといった教会美術で知られる芸術家たちの街でもあります。かつて、フィレンツェの教会の中で革工房を営む場所を訪れたこともあります。そこでもまた、絵画と革、アートと手仕事が細い糸でつながっていました。麻布にも、油絵のキャンバスになる分厚い麻布を使用します。私たちのバッグと絵画は、最初から密接に絡み合った糸だったのかもしれません。

今回の絵画とバッグの主題は、あえて伏せておきます。ただ、過去と未来という「触れることのできない記憶」と「いつかの空」、そして今という現実に”触れられる”バッグを制作しました。私達Dove & Oliveはそうした触れる部分と触れない部分を大切にしているブランドです。

「Dove & Olive」という名前は、旧約聖書のノアの箱舟物語で、洪水が終わったことを告げる象徴「鳩とオリーブ」からいただいています。

Dove & Olive 小野 一

小野さんは学生時代に画材を入れる鞄を自作したことが今のキャリアのきっかけになったと言います。
縫い糸をひと針ひと針手で縫い込んでいく姿が印象的ですが、そうでないと出せない表情があると言います。
今回、絵画と革作品を一緒に展示されます。ひと筆ひと筆を重ねて何かを描く―。それは革制作においても大切なことのようです。小野一は何を描くのか。921GALLERYで初の個展をぜひご覧ください。

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